それでもどうして


それでもどうして 
わたし いきているの 
あのとき もう 
おわったはずでしょう 
「おいで」と ひとこと 
よびかけてくれるなら 
まよわない あなたのもとへ 

それでもどうして 
わたし わらっているの 
しあわせなど もう 
わすれたはずでしょう 
「つらいね」の ひとこと 
あたたかさがこわくて 
だいじょうぶ また うそをついて 

それでもどうして 
なみだ かわいてしまうの 
いたみは まだ 
きえないはずでしょう 
「もういいよ」の ひとこと 
あなたがゆるしても 
わたしが わたしを 
ゆるしてあげられないの 

それでもどうして 
ときは すぎていくの 
あなたは もう 
あのときの あなたのまま 
「おはよう」と ひとこと 
よびかけて 
よびかけて 
あなた ここにいるよね 
そう しんじたいの 

あなたのいない 
きょうが また はじまるよ 
「おいで」と ひとこと 
よびかけてくれるまで 

かわりばえしない、またとない一日。

散文で綴る生の断片

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